社長と社員で織りなすマーケティングやらよもやま話。
調査・研究 | 2016/05/04
代表社員の冨田です。
近頃、人口減少が話題に上ることも多いのですが、大都市圏以外では数十年も前から発生していた現象であります。やはり、中央が危機を感じるまでこれだけの時間を要すると思うと、国が号令をかけた時は時すでに遅しなどという現象は様々な分野で起こっているのではないでしょうか。
さて、昨年はいくつかの自治体で人口関連の仕事をさせていただきました。
大都市や県都から離れていたり、商工業が弱い地域は人口流出に長らく見舞われ超高齢化段階に達しており、人口のさらなる減少が避けられない現状が改めて明らかになりました。データに向き合って冷静に将来を考える良い機会になったと思う一方で、痛みを後回しにしない「厳しい選択」が取りづらい行政サイドの辛さも感じた次第です。
この人口減少、いくつかの問題に分けられます。代表的な問題としては、若者の転出と高齢化です。
多くの地域で、人口減少は若者の転出と出生数の減少が主要因であると言えそうです。進学や就職で転出してもある時期に戻ってきたり、他地域の若者が転入してくればよいのですが、そういう地域は少ないのが現状です。そして、若者の絶対数が少なくなれば出生率以前に出生の絶対数も少なくなります。
各地域の調査では必ずハロワにいって求人状況を見ますが、高求人倍率で景気いいのかなと思ったら多くが病院と介護の仕事だったり衝撃の低賃金だったりと、若者の転出が問題になる地域は所得機会という意味でも厳しいというのが率直な感想です。
高齢者の絶対数の増加は、人口が多い団塊の世代がこの世という舞台を通過する時に起こる問題であります。高齢者人口のピークは26年後の2042年に向かえると推計されています。早くから過疎化している地域はすでに減少に転じたところもあります。ただし、現役世代も少なくなるわけで高齢化率は高まり続ける予測が出ています。
課題は沢山ありますが、端的に言えば投入できる金と人の問題であります。高齢になれば介護や医療サービスが多く必要になる一方、サービスを維持するための負担や供給に問題が生じます。そして現在、金と人の確保について、先行きはかなり怪しい見通しです。
長生きが幸せだという社会を維持していくためにも、知恵が必要な場面です。
「地元」が人口減少により著しく衰退したり、無くなるという場所も当然出るでしょう。しかし、これは特別な現象ではありません。港町や産炭地の都市がその役割を終え衰退したり、集落や村で稼げず集団離村といった消滅は、時代とともに発生しています。
心情的には寂しいところでありますが、「消滅」そのものが問題かは難しいところです。身も蓋もありませんが、稼げて食えるところに人は集まり、稼げなくなれば出る、そんな動きも見えてきます。
もちろん、数は少ないですが「稼げて食える」中山間地などは、周囲と隔絶した好調な人口状況が見られ場合もあるでしょう。難易度は高いですが、地域経営面の決断と努力といった側面もあるのではないでしょうか。
国全体としては人口減少が総需要減少につながり経済が縮むこと、非生産年齢人口の増大で扶養の負担が増えるわけで、「国力の減少」を前提として物事を組み立てねばならない難しい局面です。
行くとこまで行って一からやり直しは日本人の得意とする所ですが、その過程で生じる不幸な場面は見たくないので、弊社も全力で役立つ事業を推進する所存であります。