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[BOM-san 開発ストーリー] 材料の所要量計算にまつわる課題と解決へのアプローチ

所要量計算とは?現場の工夫と限界

製品Aを生産するには、製品A一つあたりに必要な材料の量に生産数量を掛け合わせて、必要な材料の総量を求める必要があります。これは一般に「材料所要量計算」と呼ばれ、製造業にとって基本的な作業です。

ただし、実際の現場では「計算通りに材料があればいい」という話ではありません。予期せぬ不良やミス発注、納期のブレに備え、安全係数(バッファ)を加味して多めに準備することもあります。こうした調整は担当者の経験や判断に任されることが多く、標準化が難しい領域でもあります。

東和商事様の現状:エクセル&電卓による属人的対応

東和商事では、毎月約50品目・200SKU以上の受注に対応しており、材料の所要量は主にエクセルと電卓を使って手動で算出されています。この方法自体はシンプルで柔軟ですが、いくつかの課題が顕在化しています:

  • 担当者によって計算の進め方が異なる
  • 使用量の精度や発注方法にバラつきがある
  • 材料の過剰在庫や不足が頻繁に発生している

業務の属人化により、「Aさんがいないと回らない」といった事態が起きやすく、世代交代や人手不足に対応するための多能工化推進といった面で課題となっていました。

BOM-san の開発目的:「誰でも使える仕組み」へ

こうした現場の課題を解決すべく、私たちは新たに「BOM-san」という仕組みを開発しています。コンセプトはシンプル:

「誰でも短時間で材料の必要量を正確に算出し、発注につなげられる」こと。

このシステムを導入することで、次のような効果を狙っています:

  • 計算方法を標準化し、属人性を排除
  • 必要量の自動集計による作業時間短縮
  • 過剰在庫・欠品リスクの削減
  • 複数生産案件の一括処理・可視化

今後に向けて:仕組みと運用の融合

BOM-san は単なるツールではなく、「業務の考え方そのものを見直す機会」として設計しています。ITによって無駄やミスを減らすだけでなく、社内の情報共有や育成の観点でも有効です。

今後は実運用の中で得られるフィードバックを元に、中小企業のDXにちょうどいい小さくて分かりやすい仕組みを整えていきます。